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台湾独立「住民投票」の大博打

習近平「統一強要」への拒絶反応

2018年10月号

 中国東部の浙江省・杭州で九月、「二〇一八年、浙江・台湾協力週間」の開幕式が行われ、台湾と中国各地の企業関係者や大学生ら約一千五百人が出席した。
 経済をテーマとする台湾との交流イベントは、一六年までは頻繁に行われていた。しかし、台湾独立志向の蔡英文政権が同年五月に発足して以降は減少し、規模も縮小した。中国政府の蔡政権に対する経済制裁の一環といわれる。
 しかし、この日のイベントは参加者や企業の数、そして出席した共産党高官の数も史上最大級。開幕式までに合意した経済協定は四十一項目にのぼり、金額規模も四十二・九億ドル(約四千七百七十億円)と、同種のイベントでトップ級だと中国メディアが伝えている。
「中台関係改善の兆し」と見る向きもあったが、しかし出席した台湾側メンバーを精査すると、ほぼ全員が野党、国民党の関係者。「むしろ蔡政権と独立勢力に対する攻勢を強めたと理解した方がいいかもしれない」と取材した中国人記者が分析する。
 この十一月、台湾では台北市長選挙を含む統一地方選挙があり、中国との接近がもたらす選挙へのマイナス効果を考えて、呉敦義主席など現役・・・