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政治

安倍の本音は北方領土「二島返還」

《政界スキャン》

2018年10月号

 もう領土問題は棚上げして年内に日露平和条約を結ぼう―。
 聴衆の面前でプーチン露大統領から振られた横紙破りの「提案」を、安倍晋三首相はあいまいに苦笑して聞き流した。
 ロシア極東ウラジオストクで九月に開かれた国際会合の壇上。二人の間には中国の習近平国家主席が座っていた。
 安倍氏はなぜその場で
「北方四島の帰属の問題を解決するのが締結の前提だ」
 とクギを刺さなかったのか。
 持ち出された時と場所は意表を突かれたにしても、提案の内容そのものは、想定の範囲内だったからだ。戸惑ったとすれば、プーチン氏の言い方が単純明快すぎて、とっさにごまかしようがなかったことくらいだろう。
 慌てたときの安倍氏は分かりやすい。見ている方が気の毒なほど目が泳ぐからである。
 ロシアから帰国後、自民党総裁選の候補者討論で、石破茂元幹事長と民放各局を回った時、モリカケ問題でキャスターたちから厳しい追及を受けた安倍氏は、視線がせわしなくさまよい続けた。
 テレビカメラは残酷である。キョロキョロキョロキョロ…&・・・