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社会・文化

V-22「オスプレイ」

日本の空を脅かす軍用機の「秘事」

2018年10月号

 東京湾横断道路が海底から姿を現す「海ほたる」。遠方には首都の高層ビル群が蜃気楼のように揺らめく。東京湾の西の空には、富士山の雄峰が鮮やかな夕陽に映える。陸上自衛隊の木更津駐屯地は旧日本海軍の航空基地の埋め立て地に建設されて以来、この景勝の地で首都防衛の防人役を果たしてきた。
 その格納庫に米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属の垂直離着陸輸送機MV︲22オスプレイが定期整備のために飛来してきたのは昨年一月末のことだった。点検は翌二月から始まった。防衛省は当初、昨年九月までに点検は終わると説明してきたが、今年の九月になっても、いまだに格納庫に据え置かれたままだ。どうして予定を一年も上回る遅延を招いてしまったのか。あまり報道されていないこの秘事をつぶさに調べると、日本各地の頭上を飛翔するオスプレイに内在する隠された重大な危険性が浮かび上がった。
 それは、日本の防衛産業の宿痾であるガラパゴス化という名の致命的な欠陥である。
 オスプレイと聞くと、度重なる墜落や緊急着陸で危険極まりないと受け取る向きが少なくない。米軍は墜落も不時着も「事故を防ぐ予防措置」と・・・