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プーチンが狙う「終身元首」就任

死ぬまで権力を手放せない事情

2018年11月号

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が「四期目」開始から半年で、早くも「次」の動きを仕掛けた。十月上旬、憲法裁判所長官に「憲法改正の時期がきた」と打ち上げ花火を上げさせたのだ。任期のある大統領の代わりに、「国民の指導者」という新構想が飛び出して、大統領の狙いが「終身元首」であることが明らかになった。

「終身の国民の指導者」構想登場

 ベテランのロシア・ウオッチャーが「我々はいつになっても結局、同じことをしている」と苦笑いした。ソ連時代には、ソ連共産党機関紙「プラウダ」の行間から、クレムリンで何が起きているか読み取ろうとした。ソ連崩壊から二十七年後の二〇一八年に取り組んだのは、ワレリー・ゾリキン憲法裁判所長官が十月十日付の官報「ロシースカヤ・ガゼータ」に掲載した、約四千語の長大論文だ。
 今年七十五歳になったゾリキン長官は、ソ連時代からモスクワ大学で法律を教え、ゴルバチョフ時代の末期に、ボリス・エリツィン大統領率いる「ロシア連邦」の憲法裁判事、さらに長官になった。ソ連崩壊後も、エリツィン、プーチンの・・・