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経済

住友商事が貿易保険を「食い物」に

「不当支払い」で会計検査院が調査

2014年2月号

 東京急行電鉄田園都市線「桜新町」駅から徒歩十分―。東京都世田谷区でも、とりわけ人気の閑静な住宅街に、その高級マンションは建っている。四~十二階建ての中層建築ながら、中庭を擁する二万平米の敷地は宏壮であり、並木に囲まれたレンガ調の外観も、人を寄せ付けない威圧感を漂わす。  この高級マンションの三階に、住友商事の中村邦晴社長の自宅がある。そして八階には、経済産業省所管の独立行政法人日本貿易保険(NEXI)の板東一彦理事長が住んでいるのだ。奇しくも同じマンションの住人である両氏は、実は五カ月前まで東京地方裁判所民事法廷における原告と被告の立場にあった。  この訴訟は、住商がNEXIを相手取り、サウジアラビアへの建設機械輸出をめぐる信用事故の保険金八十八億円の支払いを求めて提訴したものだったが、すでに決着している。昨年八月、板東氏が独断で住商へ八十一億円(保険金元本)の支払いを決め、全面屈服する形で和解してしまったからだ。当然、NEXI内部には板東氏に対する不満が燻っており、ある幹部は苦り切った表情でささやいた。 「理事長が、まさか中村社長と同じマンションに住んでいるとは気・・・