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タイで膨らむ「内戦リスク」

新国王と現政権の根深い「憎悪」

2017年4月号

 タイでは国民の敬愛を集めたプミポン国王が昨年十月に逝去し、十二月にワチラーロンコーン皇太子が新国王に即いた。もともと素行が問題視され、国民の目も冷ややかな新国王には内外から不安視する声が多かったが、まさにそれが的中しそうな情勢だ。最大の問題は政権を握る軍主流派と国王の親衛隊の対立。皇太子時代は冷遇されてきた親衛隊が一気に権力を強め、軍は二分状態となった。さらに軍政の天敵、タクシン元首相は新国王と親しく、恩赦による帰国も現実味を帯び始めた。タイは軍を割った内戦危機も含め、再び大混乱に陥る可能性が静かに高まっている。
 バンコク中心部の王宮前広場では今年十月に予定される故プミポン国王の火葬の儀に向けた施設の建設が進んでいる。仮のものとはいえ縦横六十メートル、高さ五十メートルという巨大な施設はタイにおける国王の存在の大きさを示している。天皇・皇后両陛下が三月初めにタイを訪問、わざわざ王宮に安置された故国王の遺体に供花されたことも、タイでは国王の偉大さを示すものとして大きく報道された。
 表面上は新国王のもとで落ち着き始めたかにみえるタイだが、王室と軍、政治家が入り乱れた・・・