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経済

オリックス「インド事業」の蹉跌

出資先が「債務不履行」の大ピンチ

2018年11月号

「いや、あの会社がまさか。信じられない」
 インドに駐在する日系企業社員らは九月、騒然とした空気に包まれた。ムンバイのバンドラ・クルラ地区。ミティ川の向かい側にある、巨大スラム街を威圧するかのように聳え立つ楕円形が特徴の大きなビル。オリックスの関連会社で同国ノンバンク最大手「インフラストラクチャー・リーシング&フィナンシャル・サービシズ(IL&FS)」の本社だ。ここが今、大混乱の震源地となっている。これまでインドの経済成長を支える優良企業とされてきた同社が突如として、債務不履行に陥ったからである。オリックスは現地企業への出資という形で一九九三年という早い時期にインドへ進出し、出資先の急成長という幸運に恵まれて「日系企業のインド進出の成功例」となったはずだった。しかし、その放漫経営がついに露わになり、混乱は国の経済を揺るがす事態にまで発展している。
 まずIL&FSとはどういう企業か。同社はインフラ金融と開発事業を中心としたコングロマリットであり、インド最大の「影の銀行」でもある。同社は国内の様々な開発案件を担ってきた。例えばインド最長の「チェナニ・ナシュリ間トンネル・・・

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