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政治

安倍改憲はただの「政治ショー」

《政界スキャン》

2018年11月号

 安倍晋三首相は最後の自民党総裁任期である残り三年間で、何が何でも悲願の憲法改正を成し遂げようとしている―。政界の「常識」だが、本当だろうか。
 総裁三選後に人選した新たな党の改憲シフトを、マスコミは強行突破を辞さない布陣と報じた。
 党憲法改正推進本部長は、重鎮の細田博之元幹事長・元官房長官から、「安倍最側近」の下村博文元文部科学相へ。
 与党内調整と対野党折衝の先頭に立つ衆院憲法審査会の筆頭幹事は、中谷元・元防衛相から、第二次安倍内閣で抜てきされた新藤義孝元総務相へ。
 いずれも論点を熟知したベテランの「憲法族」議員が、「率直に言って憲法問題に関しては素人同然」(閣僚経験者)ながら、首相に絶対の忠誠を尽くす腹心に交代したからだ。
 総裁選で安倍首相が「次の国会に改憲案を出す」と繰り返したのも、前のめりと受け取られた。だが、それは本当か。
 昨年五月の憲法記念日に、安倍首相は党内にも寝耳に水のサプライズ改憲案をぶち上げ、議論の加速をけしかけた。九条の現在の規定は変えず、自衛隊の存在を付け加える加憲案である。
「戦争・・・