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社会・文化

中国人土地所有で 「脱税」横行

欠陥制度が「固定資産税逃れ」を助長

2018年11月号

 固定資産税は市町村税の基幹税目だ。全体の四一%(二〇一六年度)を占め、総額で九兆円に及ぶ。徴収率は極めて高く、全国平均で九六・三%(同)に上る。土地や建物にかかる固定資産税は、自治体が課税対象(不動産)を把握しやすく、きちんと徴税が行われているのだろう―。そう考えるのは早計だ。
 この徴収率の数字は眉唾物で、支払われていない固定資産税が山のように眠っている。背後には、本来払うべき固定資産税から逃れる、中国人を中心とする外国人投資家の存在がある。

自治体による徴税の限界

 徴収率は、税収額÷課税額(調停済額)という単純な計算式で導かれる。この数字は、分母を小さくすればいくらでも改善することが可能だ。そして、本来は課税すべきものを帳簿上から消し去る「不納欠損処理」という手続きが公然と行われている。このプロセスはブラックボックスと化しており、自治体がどのような基準で徴税不能と判断したかは明らかにされない。にもかかわらず、各市町村議会による議決によってあっさりと分母から消え、徴収率がアップす・・・