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社会・文化

靖国と天皇

「陛下参拝」は譲位後もない

2018年11月号


 平成の三十年間は、靖国神社にとって「悪い時代」だった。十月二十六日、就任半年余りで更迭された小堀邦夫前宮司(六八)の衝撃的な暴言が核心を言い当てている。
「はっきり言えば、今上陛下は靖国神社をつぶそうとしてるんだよ。わかるか?(中略)今の皇太子さんが新帝に就かれて参拝されるか?新しく皇后になる彼女(皇太子妃雅子さま)は神社神道大嫌いだよ。(靖国に)来るか?」
 天皇の命で戦い、天皇陛下万歳と叫んで死んだ国民を神として祭る神社に、天皇が参拝しない。確かにこれに勝る靖国否定はない。
 明治、大正、昭和三代の天皇は参拝したが、平成は初めて一度も参拝がないまま終わろうとしている。次代も復活は望めないとなれば、靖国宮司が自暴自棄になるのも分からないではない。
 だからだろう、靖国関係者たちは小堀発言を「宮司の立場ではまずい」としながらも、「酒場の放談なら自分も同意見だ」と言ってはばからない。発言は神社職員の理論武装を鍛え直し、天皇を引っ張り出す「秘策」(小堀氏)を練るために始めた第一回教学研究委員会での説教の一部だった。
 小堀氏は・・・