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経済

住友商事が堕ちた「密輸の金」取引

「国庫に損害」問われる企業倫理

2018年12月号

 岡藤vs中村の一騎打ちか―。来年六月の経団連副会長人事をめぐり、貿易業界では早くも前哨戦が始まった。現在、副会長を務める三井物産の飯島彰己会長が満期退任するのを受け、商社・流通枠の空きポストを狙い、密かな観測が交わされている。
 候補者は伊藤忠商事の岡藤正広会長、住友商事の中村邦晴会長、セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長の三人。とりわけ前二者が有力とみられるが、絶好調の業績を背景にやたらと話題の多い岡藤氏に比べ、中村氏はメディアへの露出も少なく、地味な印象だ。本人は名誉顧問の宮原賢次・元会長以来、住商が十年以上遠ざかっている経団連副会長に「やる気満々」らしい。が、競合商社からはこんな声が上がる。
「住商は意図的に会長を目立たなくしているのだろう。下手をすれば、財界活動どころではなくなる爆弾を抱えているから……」
“爆弾”とは、今や社会問題化した「密輸の金」の輸出に伴う消費税の脱税問題である。輸出には複数の大手商社が関わっていたとされ、その中で最も取扱量が多いとみられているのが住商なのだ。折しも・・・

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