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経済

カゴメも似非科学で「詐欺商法」

「トマトの効能」に騙される消費者

2018年12月号

 ぜんそくからアトピー、花粉症……。さらには、男性不妊の改善にまでも効用が認められたという。そんな医者いらずの万能薬とでも言わんばかりの研究論文で、効能を喧伝する会社がある。誰もが一度は口にしたであろう、トマトジュースでその名を知られるカゴメだ。ホームページを開くと、それぞれの研究内容と結果、論文の発表時期が記されているものの、いずれも執筆者や詳細は載っていない。実は、大半がハゲタカ学術誌に掲載された代物。カネと引き換えに、真偽不明でも活字にして、研究成果を一見もっともらしく装うこの詐術の連鎖は底なしに広がっている。
 カゴメは一八九九年に創業者の蟹江一太郎がトマト栽培を始めたことに由来する名門だ。一九〇三年に国産トマトソースの製造に着手し、三三年には国内初のトマトジュースの販売に乗り出す。そして国内最大のトマト加工業者にまで発展を遂げた。折からの健康ブームを追い風に、二〇一七年度決算は売上高二千百四十二億円(前年度比プラス六%)、経常利益百二十六億円(前年度比一一%)を叩き出す好調ぶりだ。
 主力商品はトマトジュースのほか「野菜生活一〇・・・

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