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連載

新・不養生のすすめ 第21話

異様なる「日本食信仰」
大西 睦子

2018年12月号

 最近、ボストンの私の元を訪れた日本人が、粉末の青汁を持ち歩いていることに気づいた。「米国人は野菜の摂取が不足していて不健康」「米国人みたいになる(太る)ことが不安」などの理由という。食生活の変化で、体に変調をきたしつつあると案じては、滞在中は朝晩欠かさず、青汁の粉末を水に溶かして飲んでいた。
 それだけではない。米国での食生活への不安からか、レトルトカレー、レトルト白米、ふりかけ、味噌汁の素、即席ラーメン、缶詰などなど、大量の加工食品を日本から持ち込んでいた。海外旅行が長くなれば日本食が恋しくなるのも無理からぬこと。多少の日本食を準備するのは理解できる。とはいえ、これらの加工食品が、現地の新鮮な食べ物より優れていると信じているのは、度が過ぎる。
 そもそも、青汁はサプリメント飲料だ。わざわざ日本から持参しなくても、サプリ大国の米国にだって、粉末ケールなど「グリーン・パウダー」と言われる類似品が山ほどある。ただしグリーン・パウダーは、かえって健康に害を及ぼすことが懸念されている。
 まず、食品に含まれるカリウムは、神経や筋肉などが正常に機能するための重要な・・・