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米国がファーウェイを恐れる真因

「次世代戦争」で最強企業となる可能性

2019年1月号

 トランプ政権の中国・華為技術(ファーウェイ)に対するバッシングは「米中経済戦争」という枠からはみ出し、国家による一民間企業の〝抹殺〟に進みつつある。米国だけでなく豪州、日本など同盟国に同社製品の使用を禁止したうえ、同じく同盟国からの部品調達の道を断とうとしているからだ。同社の孟晩舟副会長のカナダにおける拘束も容疑内容に比べ苛烈だ。米国は明らかにファーウェイを恐れており、それは今後劇的に進む「戦争のデジタル化」において同社の開発力に対抗できるメーカーがもはや米国にはないからだ。
「ハイシリコンの設計能力はクアルコム、インテルを上回った。格差は今後、さらに広がるだろう」。米国の半導体関係者はこう指摘する。ハイシリコンとは中国語で「海思半導体」と表記するファーウェイ一〇〇%出資の半導体設計会社。半導体事業には自社で設計から製造まで手がけるインテルやサムスン電子のような一貫メーカー、他社から渡された設計図通りに製造するファウンドリーと呼ばれる台湾のTSMCのような受託専門メーカー、そして設計のみで製造はファウンドリーに委託するクアルコムやハイシリコンなどがある。
 二〇一・・・