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インド「宗教抗争」で モディの危機

大規模テロと政権転覆の瀬戸際

2019年1月号

 ヒンドゥー至上主義を掲げる諸々の右翼団体の連合「サング・パリワール」が結束し、インド各地から活動家ら二十万人が北部ウッタル・プラデシュ州の古都アヨーディヤに押し寄せたのは、二〇一八年十一月末のこと。ダルマ・サバ(僧侶を中心とした社会変革運動の集会)を開催し、「もはや要求はない! 今は闘いの時だ!」との怒声が会場を満たした。
 対テロ部隊を含む大勢の治安部隊が見守る中、裁判所と政権を批判する大規模なデモに発展。なかには武器を手にした極右青年の一団も交じった。
「インド人民党(BJP)は公約で寺院建設のために憲法が許す範囲内であらゆる可能性を検討すると言っていた。この四年間で彼らは何をやったのか!」
 与党BJPの友党である極右政党シブセナのウダフ・タークレー党首は政府をこう批判する。一四年の下院総選挙でBJPが大躍進し、政権交代の原動力となったはずのキーワード「寺院」が今、モディを追い詰めている。

「アヨーディヤ事件」の深刻
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 アヨーディヤは、ヒンドゥー教の聖典であ・・・