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経済

NTTドコモ「官製値下げ」恭順の底意

消耗戦でシェア死守の「国策会社」

2019年1月号

 その名を「NTT株式会社」と聞いても、もはや世間は騒がない。一部の通信関係者からは嘆息が漏れる。
「よくあんな社名をつけたものだ。ひと昔前なら、NTT社長は自民党郵政族から呼び出しを食らっていただろう」
 その日本電信電話(NTT)社長の澤田純は二〇一八年十一月六日、大幅な体制変更を発表した。海外事業に関わるNTTコミュニケーションズ、ディメンション・データ、NTTセキュリティ、NTTデータの四子会社の株式を現物出資により、新設のグローバル持ち株会社へ移管したのだ。四社は一九年七月には上場企業のNTTデータを除いて解散、新たな海外事業会社と国内事業会社へ再編される。国内外の多国籍企業の国境を越えたIT需要を一手に取り込むための体制変更だが、要となるグローバル持ち株会社の社名が「NTT株式会社」なのだ。
 かつての巨大独占企業体を彷彿させる命名ではないか。この体制変更には、旧電電公社以来の加入者回線を独占的に運用するNTT東日本・西日本は含まれておらず、「NTT法」の競争政策上の規制は受けない。とはいえ、一九九九年、官民入り乱れた盤根錯節の政治闘争の末に分・・・