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政治

《罪深きはこの官僚》山下裕之(大阪地検特捜部長)

関電問題「お咎めなし」の幕引き役

2019年11月号

「検察OBが隠蔽に関与しており立件は困難だ。特捜部は黙殺を決め込んでいる」
 在阪記者はこう語る。この特捜部とは、大阪地検のそれである。
 今年三月に亡くなった福井県高浜町の元助役、森山栄治が関西電力の役員に多額の金品を贈っていた問題は、「特別背任」や会社法に定められた「役員の収賄」などで摘発される可能性がある大スキャンダル。しかも元助役の関係先から献金を受けた国会議員もおり、政界に流れる原発マネーの暗部を暴露するチャンスだ。にもかかわらず特捜部の動きは鈍いどころか「動く気配さえない」(前出記者)。
 役立たずの大阪地検特捜部として真っ先に想起されるのは森友学園問題に絡む文書改竄問題、財務官僚らを不起訴にした件だ。あからさまな改竄が行われていたにもかかわらず「お咎めなし」で、「法務省の意向を受けて決定を下した」(法務省担当記者)女性特捜部長、山本真千子は早々に函館地検検事正に異動となり、幕引きが図られた。
 現在の特捜部長は九月に就任したばかりの山下裕之だ。中央大学出身の山下は一九九五年に検事任官し、これまでに岡山地検次席や、大阪地検交通部長など・・・