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社会・文化

竹中平蔵に「隠居」のすすめ

国を歪める「学者政商」の強欲

2019年1月号

 安倍政権が規制緩和を加速していた二〇一六年十月二十六日夕、東京・ホテルニューオータニの大宴会場で、竹中平蔵東洋大学教授が「リーダーは夢を語れ」と起業家精神の重要性を訴えていた。学者としての講演ではなく、創業四十周年を迎えた人材派遣最大手のパソナグループの取締役会長として登壇したのだ。
 記念式典・パーティーには、堺屋太一元経済企画庁長官、石原伸晃経済財政担当相(当時)、明石康元国連事務次長、石原信雄元官房副長官ら、政財界の著名人が名を連ね、竹中氏は同グループの南部靖之代表とともにホストとして、これらの来賓を接遇した。

一連の民営化法にほくそ笑む
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 〇一年に第一次小泉内閣で経済財政担当相として入閣した竹中氏は、〇四年に参議院議員に当選。総務相兼郵政民営化担当相などを歴任して小泉政権下で構造改革を進めた。〇六年に任期四年余りを残して議員を辞職し政界を引退したが、学究生活に戻るどころか、オリックスやSBIホールディングスの社外取締役などを兼任し、ビジネスに深く関わっている。
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