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経済

朝日新聞が「ステルス値上げ」へ 「紙面改革」名目でページ減少

2019年1月号公開

 朝日新聞が「紙面改革」という名の実質値上げに踏み切る。消費税増税を来年十月に控え、紙やインクなどの経費が増大するため値上げすることは予想されていたが、「ページ数を減らすことで『ステルス値上げ』することが決まった」(朝日関係者)という。朝日では現在、「政治面」はなく、一面以降が「総合面」と呼ばれている。ここに政治記事や時事ネタが並んでおり、これまで総合面は五ページ立てが多かった。しかしページ減をした暁には「総合五面」は姿を消すという。今後の総合面は平日が四ページ、土曜日や休日は三ページ立てが基本になる。
 朝日では過去にページ数を減らす議論が起きるたびに「主に政治部を中心とする編集部門と広告局が対立してきた」(別の朝日関係者)。新聞広告減少の中、ページ数を減らしたい広告部門と、記事掲載スペースを確保したい編集部門がせめぎ合ってきた。しかし今回のページ減については、「社内でそれほど問題になっていない」(同前)という。「消費税アップで背に腹は代えられないのに加え、編集部門のほうもネットへのアレルギーが少なくなり、ページ数確保に固執しなくなったという意識の変化もある」(同前)ようだ。「ネット版に掲載されて話題になることを重視する若手記者も出始めた」(朝日社会部記者)という。
 朝日は来年一月で創刊百四十周年を迎える。入手した編集局の内部資料によると、一週間で十ページの減少を「創刊百四十周年にふさわしい朝日新聞紙面を構成する」(資料より)という名目で誤魔化すようだ。つまり実質値上げの事実は伏せ、紙面改革の名の下に押し切ろうとしている。割を食うのは朝日購読者だ。 
 


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