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経済

スズキを悩ます修会長の「老害」

「君臨四十年」の企業統治に限界

2019年2月号

 軽自動車の雄、スズキが今、苦境に立たされようとしている。本業の自動車事業では、国内外で堅調な実績をあげて安定しているかにもみえるが、会社のガバナンス(統治)とコンプライアンス(法令順守)の面で深刻な問題を抱え、現在のところ、残念ながら自浄作用が期待される状態ではない。「いずれ、司直の手が伸びることも」(同社OB)と物騒な見方まである。スズキがそんな危うい状態に立たされている理由は何か。すべては一九七八年の社長就任以来、四十年以上にもわたり同社トップに君臨し続ける鈴木修会長(八十九歳)に起因する。

建設系企業との深い関係

 スズキが本社を構える静岡県浜松市。同市内に鉄骨建築業をメーンとするA社がある。「業界内では中規模の企業。直近は減収減益推移だが、近年は黒字決算が先行している」(企業リスク調査会社)というA社だが、その安定した経営は、スズキの支援によるところが大きい。
 静岡県内に多数の工場や研究開発施設を構えるスズキ。こうした建屋を建設する際、使用する鉄骨材料はすべてA社を通じて購入するというル・・・

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