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連載

本に遇う 第230話

それぞれのミッション
河谷 史夫

2019年2月号

 やたらテレビをつけては家人に笑われる。正月は映画の「ミッション:インポッシブル」連作を見た。
 半世紀前にブラウン管で見た懐かしの「スパイ大作戦」の原題がこれであったと知った。テーマ音楽が同じ、「例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで」という指令テープが自動消滅するのもそっくりだ。映画界の常道であるパクリの典型ながら、荒唐無稽で奇想天外なトリックで目的を果たす展開と派手なアクションの連続は暇つぶしには恰好であった。
 インポッシブル(不可能)なミッション(任務)の遂行命令を当局から受けて、トム・クルーズがテロ組織や犯罪組織との戦いに奔走するという筋書きは「世界の警察官」を自任していた時代のアメリカならではの設定であろう。何事も「アメリカ・ファースト」で、世界の難題から身を引こうとするトランプの国には、今やこんな使命感に満ちた映画は似合わない。
「ミッション:インポッシブル」と言えば、これを背負ってめげないお方が日本の宰相だ。拉致被害者救済、憲法改定、北方領土奪還、国土の強靭化、原発輸出政策&・・・