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連載

《世界の キーパーソン》 コリン・キャパニック

差別抗議の象徴からCMスターに

2019年2月号

 星条旗(国旗)掲揚時にひざまずいて、人種差別に抗議―。こんな運動を米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)で始めたスターが、久々に戻ってきた。今度の舞台は、スポーツ用品の世界的企業「ナイキ」のCMである。
 キャパニックはこの騒動の前、サンフランシスコ・フォーティーナイナーズのクォーター・バック(QB)として、スター街道を突っ走っていた。
 入団二年目の二〇一二年シーズン途中から正QBの地位をつかみ、チームは快進撃。同シーズンでは十八年ぶりにスーパーボウル出場を果たし、ボルチモア・レイブンズに三十一対三十四で惜敗した。翌年もレギュラー・シーズンで十二勝四敗と好成績を収めた。
 すべてが変わったのは、一六年八月二十六日のことだ。プレシーズンマッチで、国旗掲揚の際に起立せず、抗議の意思表明をした。
 試合後に理由を聞かれたキャパニックは、「黒人や有色人種を弾圧する国の旗に、敬意を払うつもりはない。これからもそうだ」と答えた。この後の試合では、国旗掲揚時に片膝をつくものに変わ り、チーム全体、さらに全米チームの選手にも広がった。
 サン・・・