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経済

国策資源会社JAPEXの「解体処分」

血税浪費した「穀潰し」の末路

2019年2月号

 駕籠に乗る人担ぐ人―。かつて福澤諭吉は明治の文武百官をこう揶揄し、「官尊民卑の弊」(時事新報)を訴えた。それから百三十年が経った今も、旧弊の残滓は日本社会に淀んでいるようだ。
「彼らはしょせん、上から目線の予算を円滑に執行することを金科玉条としてきた人たち。欧米流の契約が分かるわけがない」
 経済産業省が三四%出資する石油資源開発(JAPEX)が昨年十月十日、カナダ西部のオイルサンド処理設備を発注した東洋エンジニアリング(TEC)を相手取り、現地の裁判所に起こした訴訟はプラント業界に強い義憤を巻き起こした。すでに設備は二年前に引き渡され、順調に稼働している。ところが、JAPEXは工事費の大幅な超過により損失を蒙ったとして、TECに約二百七十億円の補填を要求しているのだ。
 しかし、両社が交わしたのはコスト・レインバース契約、つまり工事費を実費精算する取り決めである。その反面、コントラクターは工期や予算の成績次第で成功報酬を得ることもあれば、罰金を科されることもあるが、今回、TECは工事費の超過に応じて一定の罰金を支払っている。そのうえ、本来、実費精算の工・・・