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WORLD

「はしか大流行」の背後にロシア

「反ワクチン運動」煽るサイバー工作

2019年3月号

 日本をはじめ、欧米先進国で今冬、はしか(麻しん)が大流行している。日本では「海外で感染した渡航者が発端」との見方が有力だが、欧米での大流行の背後には、「ロシアによる組織的工作がある」との指摘が、医学界から上がっている。
 ロシア工作の最前線が二月、米西海岸のワシントン州に出現した。
 同州では、オレゴン州ポートランドと隣接するクラーク郡で今冬、六十人以上のはしか感染が報告された。二月上旬、州都オリンピアの州議会で、「ワクチン義務化」をめぐる公聴会が開かれた。
 同州は、はしかワクチン接種を義務化していない、全米十八州の一つである。人口の七%以上がワクチン未接種と推計されている。
 ところが、この場に数百人の母親が押しかけ、「子供をワクチンから守れ」「我が子の命は母親が守る」などのプラカードを掲げて気勢を上げた。公聴会の場でも、傍聴人席から怒号や悲鳴が飛んだ。母親たちは、「ワクチン接種は自閉症の原因になる」と信じていたり、宗教上の理由(ユダヤ教徒が多い)からワクチン拒否を求めたりする活動家だった。
「六十件以上の感染例が確認され、患者の・・・