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政治

自民党本部の「牢名主」元宿仁

金庫と裏情報を握る「永世事務総長」

2019年3月号

 自民党本部の名物職員が一月、ひっそりと退職した。選挙対策で多角的なデータ分析と豊富な現地調査により数々の成果を上げてきたベテラン、久米晃氏。自動音声電話で世論調査をほぼ毎週行い、有権者の動向を丹念に追って、時の自民党政権に進言してきた。
 表向き六十五歳の誕生日で引退と説明されているが、実は長老職員に引導を渡されたのだ。党の金庫と裏情報を握る元宿仁氏(七十四)。隠然たる影響力を持ち、面会もできない若手議員らは「党本部の牢名主」と陰で呼ぶ。
 久米氏は選挙一筋で事務方トップの事務局長に上り詰めたが、前任の元宿氏は同ポストを十年務めた。しかも六十歳で定年延長後、特別に新設された事務総長に就任。六十五歳の時、民主党に政権を奪われたこともあって退職したものの、再登板した安倍晋三首相に呼び戻され、再び事務総長となった。「恐らく生涯の終身ポストだろう」とみられている。来年、党勤続五十年を迎える。元宿氏は党本部二階の個室に陣取る。二階俊博幹事長は党本部に着くと、地下駐車場と二階と四階(幹事長室)に止まる建物裏側の専用エレベーターで真っ先に事務総長室へ立ち寄り、元宿氏から諸々の情・・・

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