“三河の田舎侍”と久しく揶揄され続けてきたトヨタ自動車。今なおその本社は、「愛知県豊田市トヨタ町一番地」に置かれている。
　トヨタによるトヨタのための街として、全てが自己完結している豊田市はさながら“トヨタ共和国”のようだ。その独特な生態系は、トヨタを中心にして、不思議な人間模様を織りなしている。
　豊田市に本社を持つパチンコホールの「ＺＥＮＴ」（「善都」）。同市を中心に愛知、岐阜などに二十七店舗を構え、その売り上げは一千六百七十億円（二〇一八年度）を誇る。成功したパチンコホールである「ＺＥＮＴ」を全国区にしたのが、一昨年に話題を呼んだ、ビートたけしを起用したＣＭだった。
　地方のパチンコホールにすぎないはずの「ＺＥＮＴ」には驚くべき事実がある。会社の沿革をながめていくと、誰もが目をむくであろう記載がある。
「二〇一〇年一月一日　奥田碩トヨタ自動車株式会社相談役（当時）、当社監査役就任（二〇一二年三月まで）」

パチンコ企業との親密な関係{br・・・