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経済

自動車産業「世界再編」の最終章

日本陣営は「蚊帳の外」の公算

2019年3月号

 世界の自動車産業が内燃機関時代最後の再編期に突入する。口火を切るのは独フォルクスワーゲン(VW)。次世代技術に展望のない米フォード・モーターを傘下に収め、世界販売一千七百万台の巨大メーカーにのし上がる。続くのはゴーン・ショックに揺れるルノー・日産自動車で、仏プジョーも絡む組み替えが起き得る。中国の国有自動車メーカーも統合で巨大化に向かい、技術的に利用価値のない外資の追い出しにかかる。単なる規模拡大だけでなく、電動(EV)化、自動運転という自動車技術のパラダイム転換に向けた再編になるだろう。

米中欧で激しい合従連衡

 一月十五日、米デトロイト・モーターショー。EVと自動運転関連の出展ばかりが目に付く会場で、今では「デトロイト・スリー」としか呼ばれない、かつての「米ビッグ・スリー」の凋落が一段と目立った。それをさらに際立たせたのがVWとフォードの戦略提携の発表だった。
「事実上、フォードが膝を屈してVW傘下に入ったという意味だ」。自動車業界関係者は提携の意味をこう見る。フォードの経営状況は見た目はさほ・・・