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連載

《世界の キーパーソン》ベンヤミン・ガンツ

「ポスト・ネタニヤフ」首相候補の筆頭

2019年3月号

 本欄で初めての、二度目の登場だ。最初の二〇一二年三月号にはイスラエル軍のトップとして、二度目の今回はベンヤミン・ネタニヤフ首相(リクード党首)に挑戦する政治家として、である。
 政治家としてはまだ何の公職もないが、四月九日のイスラエル総選挙で、地元メディアから「ここ十年で最強の、ネタニヤフへの挑戦者」と注目されている。
 二月二十一日には、中道の野党「イェシュ・アティッド(未来がある)」のヤイール・ラピッド党首と、「首相職を二年半ずつ担当する」という合意を結び、イスラエル政界に爆弾を落とした。
 直後に行われた二つの世論調査では、ガンツ=ラピッド新党が、イスラエル国会(百二十議席)で三十六議席を取り、二十六~三十議席のリクードを抑えて、トップに立つという結果が出た。
 ガンツはまた、参謀総長として自分の先輩にあたる、ガビ・アシュケナジ(第十九代)とモシェ・ヤアロン(第十七代)も新党に加えた。ラピッドは、イスラエルで最も人気のあるジャーナリストから政界に転身したが、「ミスター安全保障」の異名をとるネタニヤフ首相の強面イメージに歯が立たなかった。今・・・