三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

東京商品取引所「濵田隆道」の末路

古巣・経産省が「独裁者排除」へ

2019年3月号

 策士、策に溺れる―。市場関係者の誰もがそう思ったに違いない。東京商品取引所社長の濵田隆道は、二月十四日の記者会見の席上あっさり語った。
「三月末には基本合意する方向で着々とやっている」
 すなわち、東商取は、日本取引所グループ(JPX)の主導による経営統合を受け入れ、JPXが今夏にも実施する東商取株のTOB(株式公開買い付け)によって、一〇〇%子会社に成り下がることを認めたのだ。この結果、株式・金融商品と原油や穀物など国際商品の取引を一体的に運営する「総合取引所」に道が開かれ、それぞれの監督官庁である金融庁、経済産業省、農林水産省を巻き込んで迷走してきた十二年越しの懸案はようやく決着した。
 しかし、JPXによる子会社化を峻拒していた経産省OBの濵田はなぜ突如翻意したのか―。同省からはこんな声が聞こえる。
「濵田氏はJPXから、経営統合の暁には取締役の枢要ポストに迎えると約束されたらしい。金融庁も昨年から懐柔策を練っていた」
 総合取引所の創設は、安倍晋三首相の信任が篤い規制改革推進会議議長、大田弘子(政策研究大学院大学教授)が強く唱・・・