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経済

《企業研究》新日鐵住金

社名変更でも続く「老い」との闘い

2019年3月号

 旧新日本製鐵と旧住友金属工業の合併で二〇一二年十月に誕生した新日鐵住金。その新日鐵住金が今年四月一日を期して「日本製鉄」に生まれ変わる。住友銀行(現三井住友銀行)、住友化学と並び「住友御三家」と称された名門「住金」の称号は再編からわずか六年半で消滅する格好だ。
「一部では根強い反対もあった」。新日鐵住金幹部の一人は明かすが、軽く一蹴されたらしい。何しろ一四年に会長、社長ポストを旧新日鐵出身者に独占されて以降、経営陣から旧住金出身者は次々と排除されていくばかり。一八年六月には八人いる代表取締役に旧住金出身者は全くいなくなり、いまや社外取締役を除く十一人の取締役の中に残る旧住金出身は常務の西浦新のみ。たとえ抵抗しても「秒殺されるだけ」(旧新日鐵関係者)だ。
「日本発祥の製鉄会社として未来に向かい、世界で成長を続ける企業に相応しいより包摂的な新たな商号にする」。社名変更の理由を進藤孝生社長はこう訴えるが、それにしても韓国徴用工問題で日韓関係に亀裂が広がる中、「日本製鉄」への改名は勇気ある決断というべきか、無神経な挑発というべきか。
 国民徴用令に基づき朝鮮半島・・・