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金正恩の苦悶が続く「金欠病」

米朝協議「停滞」で漂う不穏な空気

2019年4月号

「こんにち、わが党にとって経済発展と人民生活向上よりも差し迫った革命任務はない」。金正恩朝鮮労働党委員長は、平壌で開かれた第二回全国党初級宣伝活動家大会の参加者に送った三月六日付の書簡でこう強調した。
 この話を伝え聞いた韓国政府関係者は「米朝首脳会談の後遺症対策だろう」と語った。二月二十八日、ハノイで行われた米朝首脳会談が合意に至らず、外貨稼ぎの関係者を中心に虚脱感が広がっているからだ。中朝国境地帯で中国相手に貿易を営む北朝鮮関係者は脱北者に対し、「(金正恩)元帥様がトランプと談判すれば、石炭も海産物も再び、中国に売れるようになると信じていたのに」と言って肩を落としたという。
 中国の貿易統計によると、昨年二月の北朝鮮から中国への輸出総額は約九百四十万ドル。前年同月比で九〇%以上も減った。北朝鮮の対中輸出は、全輸出額の九割を占めている。国連安全保障理事会による制裁決議により、北朝鮮は主力輸出品だった無煙炭や鉄鉱石などの鉱物資源、海産物、加工衣料品などを輸出できなくなった。北朝鮮の各種機関がかかわる貿易部門は開店休業の状態が続いている。
 こうした状態が一・・・