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政治

安倍「四選論」に潜む罠

官邸封じ込めを狙う二階の「術策」

2019年4月号

 政治の流れはたった一つの言葉で大きく変わることがある。衆議院の選挙制度をめぐる政治改革の議論では、首相竹下登の後継者に擬せられた自民党総務会長伊東正義(いずれも当時)の一言が方向性を決めた。
「表紙だけ替えても駄目だ。中身を替えて意識革命をしなければならない」
 自民党からの政権交代を実現しながら、首相鳩山由紀夫の発した沖縄の米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題への言及は、政権の寿命を一気に縮めた。
「(新基地建設は)最低でも県外」
 鳩山政権は迷走の果てにわずか八カ月程度で幕を閉じた。それにとどまらず民主党政権も三年余で終わり、首相安倍晋三が再び政権を担うことになった。そして今、その安倍が自民党幹事長二階俊博の放った想定外の発言に翻弄されている。安倍の自民党総裁としての四選論だ。
「党内外や海外からの支持もあり、この状況では(四選も)十分あり得る。余人をもって代えがたい時は、何ら問題はない」
 仮に四選が実現すると、安倍の任期は二〇二一年九月からさらに三年延長されて二四年九月になる。安倍も四選論が浮上した直後には満更・・・