三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

二階俊博「ポスト安倍」政局の邪計

《政界スキャン》

2019年4月号

 永田町でカラスが鳴かない日はあっても、二階俊博自民党幹事長が政局ネタを発信しない日はない。途切れることなく「二階節」がうなりを上げている。
 とはいえ、それで実際に何か重要な政局が動いたのかと言えば、せいぜい野党議員が何人か自民党入りしたぐらいで、大勢に影響が出た発言は皆無だ。
 安倍晋三首相はじめ政権中枢の権力者たちも、初めは内心ギョッとするが、誰も本気で反応せず、政争も起きないまま、政界に思惑と疑心暗鬼がくすぶっていると、次の発言が来る。
 話の中身は観測気球のようで、当事者には脅しにも聞こえる。第三者には、ダレた政界に活を入れるのに格好な頭の体操だ。その絶妙な間合いこそ、二階氏の至芸と味わうべし。最たる例は、自民党総裁の安倍四選である。
「この状況においては十分にあり得る。(総裁任期延長は)余人を以て代え難い時にはなんら問題ない」
 二期までと制限されていた党則を三期までに改め、安倍三選を主導したのは二階氏だ。昨年九月の三選からまだ半年。残り任期は二年半。いくら何でも早すぎる。何がどうなるか分からない。でも、今なら何とでも言える・・・