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政治

小沢一郎「野党再編」への妄執

国民民主党の「百億円」で最後の博打

2019年4月号

 平成の球界を全力疾走したイチローは、爽やかに引退した。今年、国会議員歴半世紀を迎える政界のイチローこと、小沢一郎は引退どころか、再び生臭く蠢きだした。
 自由党共同代表の小沢一郎と国民民主党代表の玉木雄一郎が進めている合流協議がヤマ場を迎えた。死に体だった「壊し屋」が、ゾンビの如く息を吹き返したのだ。
 二年前の衆院選直前、東京都知事・小池百合子と民進党代表だった前原誠司主導で結成された「希望の党」への参加を断られた小沢率いる自由党は、党所属の候補四人が希望の党、三人が立憲民主党に移籍。小沢自身は無所属での出馬を強いられ、求心力は一気に低下した。
 選挙後は、野党第一党となった立憲民主党との合流を目指したが、代表の枝野幸男とは、旧民主党政権で骨肉の権力争いを繰り広げた仲。枝野は「自由党が解党し、議員が個別に入党するなら受け入れる」と難題を突きつけた。小沢に「自らの軍門に下れ」と迫る内容で、合流話は頓挫した。
 豪腕もここまでかと思われたが、それであきらめるような男ではない。目を付けたのが、不人気にあえぐ国民民主党だった。
 国民民主党・・・