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政治

安倍「ポピュリズム」政権の病状悪化

選挙対策で繰り出す危うい「禁じ手」

2019年4月号

 選挙が遠ければ国民の理解が得られなくても自らの政治信条を押しつけるような政策を進め、選挙が近づくと避けて通れない喫緊の政策でも、不人気なら先送りする。大衆迎合というポピュリズムは、その副作用に気づかれないまま、未来を蝕んでいく。この六年半の安倍晋三政権の悪弊が、今夏の第二十五回参議院議員選挙を前に、新しいタイプのポピュリズムを伴って再び首をもたげてきた。著作権法改正案の先送りと、韓国に対する制裁措置の検討である。
 インターネット上の海賊版が出版業界に打撃を与えているとして、違法ダウンロードの規制対象を全著作物に拡大する著作権法改正案が、自由民主党の部会や調査会で承認されながら最終議決機関である総務会を通らない異例の経緯で、二〇一九年通常国会には提出しないことが決まった。三月十九日、火曜日のことだ。
 この前週、超党派の「マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟」(MANGA議連)会長で、安倍と政治信条の近い元国家公安委員長・古屋圭司が「表現の自由を抑圧しかねない」と安倍に訴えたことを契機に、総務会長の加藤勝信が金曜日(十五日)の総務会で同法改正案の審議を見送った。・・・