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経済

佐川急便「社長交代劇」の内幕

栗和田会長「個人商店」を危ぶむ声

2019年4月号

 物流大手「佐川急便」の親会社「SGホールディングス」の社長に佐川急便生え抜きの荒木秀夫が就任する。二〇一〇年、コスモスイニシア社長から佐川急便に転じ、一五年三月、鳴り物入りで社長に昇進した町田公志は実質的に解任されることとなった。
 今回の社長交代劇の背景には、佐川急便グループの深刻な人材難があげられると同時に、グループを束ね、創業家の血を引くSGホールディングス会長、栗和田榮一
の経営センスのなさを図らずも露呈することとなった。
 予兆はあった。今年、二月十三日、SGホールディングスはマスコミ関係者を集めての懇親会を開いた。場所は経団連内の一室だった。業界紙記者らが多数を占める中、栗和田以下、幹部が顔を揃えた。しかし、そこに町田の姿はなかった。当然、記者たちは訝った。会場のあちこちで「町田不在」が話題となった。
 ただでさえ、人見知りで記者を寄せ付けぬ栗和田だが、この日、ある記者が近づき、「なぜ社長がいないのですか」とあけすけに問うた。しかし、栗和田はこの質問にも、顔を強ばらせて答えようとはしなかった。見かねた側近が近づき、その場を取りなすよ・・・