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WORLD

温暖化防止「北欧十六歳少女」の挑戦

学生百四十万人「金曜日デモ」の賛否

2019年5月号

ヨーロッパの元首や首相が今、列をなして会いたがる女性がいる。
 スウェーデンの十六歳、グレタ・トゥーンベリさんは、過去半年間でローマ法王庁、パリのエリゼ宮、イタリア上院などを訪れ、スイス・ダボスの「世界経済フォーラム」でも演説した。
 政治家やスーパーリッチを引き付けるのは、このお下げの少女が「地球温暖化を絶対に防いで」と訴え続けているからだ。そして金曜日を「未来のための金曜日」として、世界中の学校や大学の生徒・学生に、学校を休んで街頭行動に出ることを呼びかけている。
 今年三月には、何と百四十万人がこの呼びかけに答えた。西欧諸国では大人たちが、「責任ある政治家が、授業をさぼることを奨励していいのか?」と真剣な議論を交わしている。

ダボス会議を黙らせた少女

 トゥーンベリさんは現在、基礎学校九年生(日本の中学三年生にあたる)。少女がただ者でないことは、話を聞けばすぐにわかる。
 今年一月、世界経済フォーラムに招かれて、昼食会で演説した時には、集まったトップエリートたちが・・・