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北朝鮮「体制転覆」に傾斜する米国

飼い犬「自由朝鮮」が狙うクーデター

2019年5月号


「北朝鮮の金正恩(朝鮮労働党委員長)に非核化の意思がないことが確認できた」(尹徳敏・前韓国国立外交院長)
 ハノイで二月末に行われた二回目の米朝首脳会談が物別れに終わった後、専門家たちが異口同音に指摘する会談の数少ない「成果」の一つだ。対話による解決が不可能となれば、先制軍事攻撃や体制転換といった選択肢が浮上しそうだ。そんな中、金正恩政権の転覆を目指すと公言する団体が二月二十二日、マドリードの北朝鮮大使館を襲撃するなど動きを活発化させている。米中央情報局(CIA)や米連邦捜査局(FBI)との接点が指摘され、米政府が秘密裏にこの団体を支援している可能性も取り沙汰されている。米国は米朝融和、武力行使に次ぐ選択肢、「プランC」へとすでに動き出したのか。
 この団体は「自由朝鮮」。ホームページによると「我々は、世界各国にいる同胞たちと結集した脱北者の組織だ」としている。「北朝鮮内の同志とともに金正恩政権を揺さぶる」とし、北朝鮮国内にも協力者がいると主張している。三月三十一日には「我々は今、大きなことを準備している」と新たな反政府活動を予告した。韓国在住で知識層出・・・