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経済

野村證券は「銀行傘下入り」の運命

顧客無視「無法営業」にも限界

2019年5月号

 昨年来、本誌が指摘している通り、証券トップの野村證券が悲惨な末路を辿り始めた。二〇一九年三月期決算の赤字転落はもはや不可避であり、業界二位どころか、どん尻証券の汚名に塗れることになりそうだ。しかし、これはまだ没落の序章にすぎない。野村にはさらなる艱難が待ち構えている。
 それにしても地に堕ちたものだ。この一年を振り返ると、営業店では社員による顧客資産の横領事件が起きるし、本部では東京証券取引所が検討する第一部、第二部、新興市場という株式市場の構成見直しに関するディープ情報の漏えい事件を起こした。さらには昨年末、ソフトバンクグループの親子上場に主幹事証券として加担し、ソフトバンクに有利な売り出し条件のままで案件を実行した挙げ句、売り出し株式約六千億円をはめ込んだ顧客に多大な損失を被らせた。往年の業界ガリバーの見る影もない腐敗ぶりである。
 金融庁幹部も心底呆れ果てたという表情で「ここまでダメになるとは思わなかった。開いた口がふさがらない」と突き放す。

不可解なグループ会社社長人事

 そんな・・・