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経済

JXTGを腐らす「杉森総帥」の慢心

情実人事と「独裁長期化」の憂鬱

2019年5月号

 四月一日、JXホールディングスと東燃ゼネラル石油の経営統合から丸二年が経ったJXTGホールディングス(HD)―。ようやく統合の過渡期がすぎ、同日付で始動したグループの新布陣を見た旧日本石油のあるOBは、思わず嘲弄の声を上げた。
「杉森は小っちぇえな!」
 グループ総帥の杉森務、すなわち旧日石の販売部門出身のJXTGHD社長の周囲は、子飼いの幹部で固められ、不満分子はことごとく排除されたからだ。
 とりわけ中核子会社の石油元売り最大手、JXTGエネルギーは、販売担当常務に齊藤猛、電気・ガス事業担当常務に谷田部靖が昇格、杉森を支えてきた人材が枢要ポストを占めた。対照的に東燃ゼネ出身の取締役は、常務の宮田知秀が製造担当を外されたほか、若手のエースと呼ばれた事業改革担当常務の忍田泰彦は子会社へ転出となった。全国十二人の支店長も、東燃ゼネ出身者は四人から二人へ減員されており、いよいよ杉森の独裁が始まったと言っていい。
「それにしても、登用されたのは販売畑の人材ばかり。杉森は特約店と丁々発止やり合う石油販売にしか関心がないのか」
 旧日石OBがこ・・・