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経済

ENEOS「杉森」はなぜ辞めた

重病説の裏に漂う「醜聞」の臭い

2022年9月号

 “酒と薔薇の日々”はいつまでも続かない―、真相はそういうことなのか。
 ENEOSホールディングス(エネオスHD)の会長CEO・杉森務が八月十二日、「一身上の都合」を理由に突如辞任した。子会社の石油元売り最大手、エネオスの代表取締役も辞めたほか、石油連盟の会長、経団連の審議員会副議長など一切の公職から退いた。
 石油業界のドンにいったい何があったのか、経済界には「一身上の都合」への疑念が渦巻く。エネオスに布かれているのはたじろぐほどの箝口令だ。いや、幹部の多くも辞任の理由を知らない。
「長年の飲酒と喫煙、それが災いしたということだろう」
 非公式に伝わってくるのは深刻な体調不良。ステージ4の膵臓がんだという。急きょ石連の会長代行に就いた出光興産社長・木藤俊一に告げられた理由はそれである。事実、杉森には販売部門の部長時代、膵炎を患い、数カ月休職した前歴がある。しかし、仮に病状が亢進したとしても、顧問にも残らず、一方的にエネオスと縁を切る行動は解せない。
 七月二十九日、エネオスが九年ぶりに優勝した都市対抗野球の祝・・・

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