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社会・文化

NHK「次期会長争い」の醜い混戦

首相官邸「権力抗争」がもろに影響

2019年5月号

  NHKの新しい役員体制が四月早々に発表され、そこで新聞各社が大きく取り上げたのは、板野裕爾NHKエンタープライズ社長の専務理事への復帰だった。板野氏は一期でNHKを追われた籾井勝人前会長の側近の一人。籾井氏は在任中「政府が右ということを左というわけにはいかない」などと問題発言を連発し、放送局のトップとしての資質に欠けることを露呈したことで知られる。

 その意向を忖度してか、板野氏は籾井体制下で専務理事・放送総局長を務めていた際、「反権力」の姿勢を鮮明にしていた「クローズアップ現代」の国谷裕子キャスターの降板を主導するなど、政権側の意向を酌んだと目される言動が目立った。今回の異例の人事の舞台裏からは、次期会長として板野氏を視野に入れる菅義偉官房長官―杉田和博官房副長官ラインと、これをいぶかる今井尚哉首相政務秘書官との暗闘が浮かび上がる。
 

菅vs今井の代理戦争
 

 異例の復権を果たした板野氏が以前から杉田官房副長官と極めて親しいこと・・・