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社会・文化

「大阪カジノ」は頓挫の様相

IR事業者が「お手上げ」する理由

2019年6月号

 大阪湾に浮かぶ夢洲は、いびつな六角形の人工島だ。一九八〇年代後半、日本中がバブル経済に踊っていた頃、それまで見向きもされなかったこの島はにわかに脚光を浴びる。国際交易、情報・通信、先端技術開発の機能を担う「テクノポート大阪」構想が持ち上がったからだ。
 しかし、バブル経済の崩壊で計画は程なく破綻。完成すれば三百九十ヘクタール(東京ドームおよそ八十三個分)もの広さとなり、バラ色に染まるはずだった人工島は、大阪の負の遺産へ暗転したのだ。
 今、この島が再び耳目を集めている。理由は、二〇二四年開業予定のカジノを含むIR(統合型リゾート)事業、そして翌年の国際博覧会(大阪万博)である。しかも、この大規模プロジェクトを牽引するのは、大阪府と大阪市を“天領”とする「大阪維新の会」。それだけに、維新の威信にかけても失敗は許されない。
 しかし、現実は維新が思い描くほど楽観視できない。それどころか、むしろカジノを含むIR事業の二四年開業はどう見ても不可能であり、この「不都合な真実」は他ならぬ公募をしている大手IR事業者たちすら薄々気づいている。{・・・

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