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社告 渡辺賢治氏との係争で弊社「勝訴」

2019年7月号公開

社告  渡辺賢治氏との係争で弊社「勝訴」

 小誌2015年2月号「慶應大学医学部―『醜聞続出』の堕ちた私学の雄」の記事内容を巡り、現在は慶應義塾大学医学部の客員教授を務める渡辺賢治氏が名誉毀損を訴えていた裁判の一審判決が5月29日、東京地方裁判所で下され、「原告の請求はいずれも棄却」との判断が示されました。原告渡辺氏は期限までに控訴しなかったため、一審判決が確定し、弊社の「全面勝訴」で決着がつきましたこと、ここに読者の皆様へお知らせいたします。
 
 原告が名誉毀損だとした記事の内容は、以下の通りです。
 
 2年前(注:2013年)に専門医試験での不正が取り沙汰された渡辺賢治・漢方医学センター准教授(当時)のケースは悪質だ。慶應病院は、東洋医学会の研修指定病院になっている。同学会の専門医資格を取得するためには指定病院で3年以上勤務し、試験に合格しなければならない。受験するためには、当該病院の研修責任医が発行する研修証明書の提出が義務付けられており、渡辺氏は当時その任にあった。
 2013年11月の試験で、渡辺氏は資格のない2人の医師の経歴を誤魔化して受験させようとした。すぐさま関係者から慶應と東洋医学会に告発され、竹内勤慶應病院長は当時、周囲に「大変重大な問題。これはアウトだ」と漏らしていたという。
 しかしなぜか積極的な調査は行われず、東洋医学会から慶應への調査依頼に対して、慶應側は在職歴のみを回答し、証明書の虚偽記載については言及しなかった。
 小誌が入手した慶應の回答を見ると、疑惑の医師のうちの1人は慶應病院に在籍していたことすらなかった。もう1人は2010年4月から2013年11月まで漢方医学センターに籍はあったものの、2011年4月以降は外部に出向していた。出向先は東洋医学会の指定病院でないため受験資格を満たさない。
 あからさまな不正だが、慶應病院は渡辺氏を処分していない。その後、渡辺氏は湘南藤沢キャンパスの環境情報学部教授ポストに移った。現在は、神奈川県の顧問として黒岩祐治知事の医療政策ブレーンを務めているというから左遷ではないようだ。

 
 この記事内容は、事実を裏付ける資料や関係者の証言を集めた上で書かれたものです。なにより、渡辺氏に対しては、記事掲載の前に、日本東洋医学会が不正を認定し、同氏への「訓告通知」を可決しており、不正の事実は動かし難い状況になっていました。
 にもかかわらず、渡辺氏は「記事は真実に反し、原告の名誉を毀損した。原告が不正を行ったという悪評が更に広まり、社会的信用を失墜、精神的苦痛を被った」と主張し、裁判を起こしたのです。
 学会が黒と判定した不正を「白」と言い張る原告の主張が通るはずもなく、判決では「記事で摘示されている事実の重要部分は真実であるとして、違法性が阻却され、不法行為は成立しない」との判断が下されました。
 渡辺氏が勝ち目のない裁判に及んだ理由について、慶應大学医学部関係者は、「記事が出た翌年には医学部教授選挙が控えていた。渡辺氏は立候補したかったため、『不正はなかった。記事はデタラメで、名誉毀損で訴訟中』と言い訳の材料にしたかったのでは」と推察しています。
 これが事実であるとするならば、渡辺氏は自身の出世のために濫訴に及んだということになります。ちなみに渡辺氏は教授選に立候補はしたものの、あえなく落選しています。
 医師として、教育者として、「先生」と尊ばれる人物が、重大な不正に手を染めた挙げ句、身勝手な訴訟を引き起こしたことは、断じて許されるものではありません。 
 今回、裁判所が渡辺氏の請求を全て退けたことは至極当然の判断であり、報道の自由が守られたことは大いに評価したいと考えています。  

                                 以上


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