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政治

参院選勝利でも安倍自民は危うい

山崎 拓(元自由民主党副総裁)

2019年7月号

 ―参議院選挙をどう見ますか?

 山崎 衆参同時選挙になっていれば、事態は一気に違った展開になっていた。それがなくなったので、参議院選挙は、定期的に行われる普通の選挙となり、特段の争点はない。
 しかし、改憲勢力が改選前の「三分の二」を割り込むと、安倍晋三首相の下での改憲発議は断念せざるを得なくなる。次に衆議院で解散総選挙となった場合に、「改憲のために三分の二が必要」と訴えるのは難しくなる。
 ―安倍政権の評価は?
 山崎 「安倍一強は微動だにしない」という判断が一般的だ。政府は「安倍外交」を宣伝し、国民も評価している。政界では「悪名は無名に勝る」と言われるが、頻繁な外遊と高いメディア露出が、国民の首相支持の源泉だ。
 だが、外交の実を見ると、成果はゼロに等しい。何より、東アジアでは、中国=ロシア=北朝鮮という軸に対し、「日米韓」の軸がひび割れしている。一方の中朝は、大阪G20首脳会議の前に、強くアピールした。トランプ大統領との緊密な関係も、私に言わせれば「抱き付き外交」で、実がない。トラン・・・