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経済

アステラス製薬 「高齢者商法」の強欲

効果乏しい「尿漏れ薬」で荒稼ぎ

2019年8月号

大手製薬会社の二〇一九年三月期決算で、アステラス製薬の好調ぶりが際立つ。売上高は一兆三千六十三億円で前期比〇・五%増だったものの、営業利益は二千四百三十九億円、純利益が二千二百二十三億円で、それぞれ一四・四%、三五・〇%も急増している。この数字を牽引したのは、前立腺がんと排尿障害の治療薬である。つまり高齢化が進む現代日本の時流に乗った商略。お年寄りには悩み深い「尿漏れ」に効くと謳うが、効果てきめんとは程遠いのが実態である。
 アステラスが業績回復に向け、まず取り組んだのは経費節減である。今年三月末には、早期退職優遇制度に応募した約七百人が退職した。これで国内の医薬情報担当者(MR)の数を約二千人に縮小させている。リストラの常だが、優秀な社員から退社し、残った社員のモチベーションは低下の一途。これだけではアステラスは生き残れない。

著名医師に多額の「製薬マネー」

 そこで、アステラスが肝心の収益源の柱と位置づけ、注力するのが泌尿器科の薬剤である。前立腺がん治療薬の代表的なものがイクスタンジで、一八年度・・・