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米国「香港人権法」で激震の中国

貿易戦争の具にされる「市民デモ」

2019年12月号

「米国行きのファーストクラスのチケットがなかなかとれないのは、共産党高官の親族や秘書らが大挙して訪米しているせいだ」
 北京在住の外国人ビジネスマンの間で最近、こんな話が囁かれている。米ニューヨークを拠点に活動する中国人民主化活動家らによれば、複数の共産党長老の親族が最近、ウォール街の金融機関に出没しているという。彼らの訪米の目的は、米国にある財産を別の国へ移すためだといわれる。移転先は、欧州、オーストラリア、そして日本だ。米国は中国共産党指導者らにとって、もはや財産を置く安全な場所ではなくなっている。
 米国の上院と下院はこのほど、香港人権・民主主義法案を圧倒的多数で可決した。トランプ大統領の署名を経て、成立する見通しの同法は、中国共産党政権にとっては、悪夢にほかならない。

資産凍結に怯える共産党指導者

 法案には、香港の自治が守られていないことが確認されれば、関税面などの優遇をなくし、中国と同様の高関税を課すといった内容が含まれている。米中貿易戦争のなか、香港を抜け道に対米輸出を画策し・・・