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WORLD

トランプ「自爆不況」が来年本格化

「デタラメ経済政策」で世界は大混乱

2019年9月号

 米国で「二〇二〇年不況」到来の観測が強まっている。米経済そのものは好調なのに、ドナルド・トランプ大統領の主導する米中貿易戦争で、世界経済の不安定要因が激増しているからだ。すでに株式市場がたびたび大幅下落に襲われたり、消費者信頼感指数が下がったりするなど、景気鈍化の兆候は目に見えて増えている。
 米軍は近年、誤爆で民間人死者が出ると、「コラテラル・ダメージ(巻きぞえ被害)」と表現する。
 今夏の「円高ドル安」は、まさにこれだろう。トランプ大統領が叩いているのは中国なのに、その都度、円相場が荒れる。大統領が「関税を三〇%に引き上げる」など、中国に怒りのツイッターを連発した八月二十三日には、円は一ドル=百五円台に急騰した。
 安倍晋三首相は八月、「我が国経済への影響が懸念されている」と認めたが、十月の消費税増税については「ちゅうちょせず」やるとの方針を変えなかった。もしも、七月の参議院選挙前に、「一ドル=百五円」水準だったら、情勢は根本的に変わっていたはずだ。
 今夏の円高について、在京のエコノミストは「日米の金利差確保のため行われたキャリートレード・・・