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ドイツ経済 「急失速」の窮状

欧州の牽引役「景気後退」の瀬戸際

2019年9月号

 欧州連合(EU)を牽引するドイツ経済が、景気後退入りの瀬戸際だ。今年第2四半期の国内総生産(GDP)は前期比〇・一%減。2四半期連続マイナス成長の懸念もあがっている。
 二年前は絶好調だったのに、米中貿易戦争で輸出主導経済に急ブレーキがかかった。もっと深刻なのは、生え抜きの企業幹部たちが「なあなあ」でやりくりしてきた、「ドイツ株式会社」の経済モデルが、世界経済の変化のスピードに、ついていけなくなったことだ。

自動車業界に「黒船襲来」

 自動車マニアが多いドイツでも、中国の「CATL(寧徳時代新能源科技)」社は、全く無名だった。
 福建省寧徳市に本社を置くこの電気自動車(EV)用バッテリーメーカーが昨年、旧東独地域のチューリンゲン州エアフルト市に、大規模工場建設の計画を明らかにすると、驚愕と危機感がドイツ政府と業界を襲った。
 ドイツはEVで中国各社や米「テスラ」に後れをとっている。特にその心臓部と言えるバッテリーでは、アジア企業に太刀打ちできない。業界が追い上げ策をあれこれ議論・・・