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ジョンソン首相 「史上最短命」の様相

議会も世論もEUも敵に回して

2019年9月号


 英国のボリス・ジョンソン新首相が、史上最も短命な宰相への道を歩んでいる。
「自分が交渉すれば、欧州連合(EU)側が折れる」という、根拠のない主張を就任から一カ月もたたないうちに挫かれた。
 首相は八月二十八日、九月半ばから十月半ばまで議会を休会にし、議会審議を封じ込める策に出て、エリザベス女王の裁可を得た。
 議会は与野党問わず猛反発し、女王まで巻き込んだ行政訴訟、大規模署名や内閣不信任案の早期提出の動きが同時進行。空前絶後の大混乱に陥った。ジョンソン首相が十月三十一日の離脱予定日を超え、十一月二十日まで粘れなければ、不名誉な記録を更新する。
 ジョンソン首相がいかに場当たりかを、お見せしよう。八月二十一日、アンゲラ・メルケル・ドイツ首相との会談後の記者会見は、ある一言でムードが変わった。
「(最終的合意は)向こう二年間かけて、話し合えばいい。まあ、たぶん三十日以内で、解決策が見つかればよい」とメルケル首相が言うと、ジョンソン首相が飛びついた。
「三十日とおっしゃった。いや、猛烈な日程だが、私はそれで結構」{br・・・